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2026.09.08【特集】歴史的な棚田で最後の稲刈り 作付けやめる決断した77歳農家の思い【新潟】

【特集】歴史的な棚田で最後の稲刈り 作付けやめる決断した77歳農家の思い【新潟】
歴史的な棚田で最後の稲刈り
日本の棚田百選に選ばれている三条市の「北五百川の棚田」で最後の稲刈りがありました。今年で作付けをやめる決断をした77歳の男性の思いと棚田を取り巻く環境を取材しました。

三条市・下田地区。(しただ)今年も、立派な稲穂が実りました。山の裾野に広がる「北五百川(きたいもがわ)の棚田」です。

■佐野誠五さん
「秋は秋で真っ黄色くなるからきれいになる。」

稲刈りをするのは、佐野誠五さん(77)。
『北五百川(きたいもがわ)の棚田』で50年近くコメ作りをしてきましたが、今年が最後です。

■佐野誠五さん
「最後というのはいつもと違いますよ。今はまだ稲刈りられるけど、完全に刈り終わって、ここにコンバインが来た時にどういう心境になってるのかなと。」

『北五百川の棚田』は、三条市の中心部から約20km、車で約30分のところにあります。江戸時代から約400年続くとされ、農林水産省が認定する『日本の棚田百選』に選ばれています。

■佐野誠五さん
「ここが棚田の頂上です。ここから見る景色が一番きれい。棚田があって集落があって、田んぼがあって山があって、バランスのいい棚田。」

佐野さんは15代にわたり、この棚田を守り続けてきました。

■佐野誠五さん
「日本の棚田百選に選ばれて、そしたらみなさん大勢くるようになった。口々に言うのが良い所だから頑張ってくださいとみんないうわけ。じゃあ俺がやれるだけやってみようかなということで頑張ってきた。」

自宅はすぐ近くにあり、約90aでコシヒカリを作付けしています。

■佐野誠五さん
「自分自身はやっぱりこの辺にいるのが好きですよ。やっぱりなごみますよ。」

それでも佐野さんがコメ作りを断念した理由・・・そのひとつに〝動物による被害〟があります。

■佐野誠五さん
「最近イノシシとサルが出て、コメを食べるようになったらもうお客さんに予約した量が取れなくなって、もう無理だなと思って。自分自身はもう少しやりたい気持ちはあったけど、最後もこういう形でやめるのも仕方ないかなというか、自分では納得しています。」

電気柵による対策も考えましたが、ひとつの田んぼに設置するだけで約10万円。すべてに整備することはできませんでした。

もうひとつの理由は・・・厳しい収入面です。棚田でのコメづくりは平地に比べひとつひとつの田んぼが狭く、コストがかかります。行政から交付金が出るものの年間で15万円ほど。年間の売り上げ約100万円と交付金からコストを引けば、利益は50万円ほどしか残らないといいます。

■佐野誠五さん
「棚田だけで生活できるんだったらいいけどさ、絶対生活できないし。ここはね、非常に割りにあわない。」


地域農業などに詳しい新潟大学の伊藤亮司助教は、中山間地の農業に対する国などの交付金制度が実情に合っていないと指摘します。

■新潟大学伊藤亮司助教
「草刈りだったり、水路のメンテナンスだったりも大きなコストと労力がかかってしまう。最低限、日本でも(今の交付金の)10倍ぐらいないと農家の感覚からもうやってられないぜということになりかねない水準。なかなか担い手が見つからないのが現状だと思う。中山間地域で人々が暮らして耕作を維持できる条件を国の責任で整えないと、棚田の耕作は自動的に消滅に向かうということだと思う。」


先週、稲刈りの最終日。
50年近く続けてきたコメ作りが終わりを迎えました。その様子を娘の夫・西川大樹さんも見守りました。

■西川大樹さん
「(棚田を守り続けてきたのが)本当にすごいなと思います。自分じゃ無理だと思うので、お父さんにはご苦労さまでしたっていう感じ。」

■佐野誠五さん
「やっぱりさみしさはあります。棚田は田んぼにイネがないと殺風景といいますか、なんか気が抜けたような感じ。棚田はきれいだし、やれる人がいたらいつまでもやってほしいけど、あんまり無理しないほうがいいと思う。」
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